基礎デザイン学科

science of design

ヴィジュアルコミュニケーション

ヴィジュアル・コミュニケーションの実践的な演習ですが、3年次にはよりコンセプチュアルな次元でデザインを展開するステージに移行します。表現したい内容を的確に可視化する力と、人の記憶に印象を刻印するコミュニケーションとはいかなるものであるかを、2つの課題を通して理解していきます。特に後半の課題は、視覚記号の運用によって、アイデンティフィケーションがいかに生成するかについて把握する実践的な演習になります。

課題1 円グラフ|Pie Graph

この課題における「円グラフ」は数量の変化や割合を示すための図説的な表現ではない。視覚デザイン上の表現ルールとして「円グラフ」を用いたもので、表現の内容は「客観写生」であり、同時に「詩的」なものでもある。ここでは、グラフの分割や色の配分によって、対象物の性質や特徴が、大胆に簡略化されたかたちで表現されている。たとえば「オムライス」の円グラフは、オムライスを食べる前とオムライスにスプーンを入れた時の、前後の情景を円グラフで活写している。スーパーのシャケの切り身は、夕方になると値引きシールが貼られる。グラフィックデザインの魅力は、静止した単純・シンプルな図の中に、物事のエッセンスを凝縮できることにある。円グラフの課題は、それを具体的に経験する手法として効果的である。

課題2 色/菓子/パッケージ/アイデンティティ

スナック菓子の構想から始め、その菓子の名称を考える。次に名称のロゴタイプをデザインする。そして、パッケージデザインや、広告用のキービジュアルへと発展させる。そのプロセスを進めるうちに、そのスナック菓子が本当に存在するように、明晰なイメージとして立ち現れてくる。まさにアイデンティ成立の過程を体験する演習である。