目は心の窓|The eyes are the windows of the soul
吉田 早希
暗闇に林立する棒上に無数の眼が浮かび、瞬きしている。こちらを凝視しているわけではなく、物思いに耽っていたり、愁いを秘めていたり、伏せ目がちに涙していたり。どの眼も彩度の高い、やや装飾的なイラストレーションとして描かれ、現実感は乏しい。それゆえ物語の中の登場人物との距離のような、近くて遠い存在感がある。これだけたくさんの眼を描いておきながら、眼に興味があるわけではない、むしろ他人の目線が怖いと突き放すようなことを作者は言う。そんな作者の感性が作品を魅力的にしているわけなのだが。