基礎デザイン学科

science of design

Yellow Line
有木 陽美

軍手の「黄色い線」に着想を得たプロジェクトである。粗い糸で編まれたざっくりとした質感と、そのエッジに施される黄色い線。「軍手」という手袋は、この特徴によって独特のアイデンティティを持っている。この性質を抽出し、衣服に適用してみることで、これまでにない角度から、衣類の魅力を描き出している。制作したのはベーシックなインナー、タートルネックのセーター、野球のユニフォーム、ベビー用品などであったが、洗練されたファッションアイテムへの展開をも想起させる力を持っており、デザインの視点として優れた提案である。

metamorphose of clothes
小林 克彰

ポスターから洋服へと変化する過程をデザインの対象とした本作は、これまでの洋服や平面作品の枠を超えた取り組みである。平面の布が身体に纏われるためのカタチを持つプロセスの中に、服としての魅力を内包させる着想が秀逸で、また変化の前と後の見え方についても高い完成度で表現されている。カタチのバリエーションが豊かであり、優れた造形力と構成力を感じさせる本作品は、2020年度基礎デザイン学科の優秀賞として選出された。

Pictomen Carnival
チョウ ジュンイ

ありふれた人のピクトグラム。男女の区別のために描かれたロボットのような二次元の人体図に、もしポニーテールやほくろ、ぽっこりしたお腹やふくよかなお尻があったら…。素朴な着眼から、人間固有の体型や体温、ふるまい、ファッション、ジェンダーレスなど自在に発想が広がり、個性や人格をもつおびただしい数のpictmenが生成されていく。本作品の傑出した点は、それらが原像であるトイレマークを危うく逸脱していないところだ。オットー・ノイラートが見たら、きっと微笑んで相づちを打ってくれることだろう。